パラ語録 | - 2005/1/15 改訂
寒風山スカイラリー元チャンプが寒風山フライヤーへ贈る 独断と偏見に充ち満ちた珠玉の「パラ語録」 |
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目 次
序章 概論の章 ライズアップの章 グラハンの章 テイクオフの章 ソアリングの章 記憶に残るコラップス 北の章 南の章 東の章 スカイラリーの章 奥義の章
★★序章★★ ○長〜いブランクと気合いの入れすぎはエラーの元凶。 飛びたいけど飛べない〜がズーと続いて久しぶりにお山へ・・・ ヨーッシ飛ぶぞ〜 って、適当なアドレナリンは必要 しかし、熱血いれこみ過ぎは、マイナス面が多くなる。 冷静さが大切。 ○テイクオフ前のコンセントレーションにはマイペースが一番 ウキウキ・ペチャクチャしている時は、あら〜ヤッチャターが多い ○セットアップは絶対に慌てない。落ち着いて、確実に、二度チェック。 命にかかわるレッグベルトの閉め忘れ 各ベルトのユルミや締めすぎ、ライザーの捻れ ▲気がついたら紛失してたもの スクールトランシーバー・工具ケース・外部マイク・サングラス・コンパス ▲飛んでから気づいたもの マイクスピーカーのジャック抜け 閉められないファスナーが開いていて寒寒ソアリング 無線機・バリオ・GPSの電池切れ ○ポジションを変えてしまうハーネス荷物詰め込みすぎ。 ハーネスのバックポケットが小さめだった頃にパラバックさえキツキツだった。 ギュウギュウに詰め込んで、飛び出したらソックリ返ってしまったことがある。 今使ってるハーネスはかなり余裕があるけれど、最近購入した便利バックを入れたら少しギュウギュウ状態になっている。 ○待機時間が長くなったり、飛行時間が長くなると集中力が低下する。 次の目標を目指してリフレッシュ!気持ちのギヤチェンジ 「いつでも雲までいくぞ!」の心構え 風が強くマイナー気分で待機しているときに大きな一発を逃している。 ○ヘタクソを見ているとヘタクソが感染する。 なんだーまた失敗してるよ〜 などと、何気なく見ていても 目からインプットされてくるイメージは凄い力で感染してくる。
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★★概論の章★★ ○考えすぎスランプは感覚飛行で脱出 あれやこれや理屈に走りすぎてスランプから抜けられない時は〜 いっそのことナ〜んも考えないで ググときたらグイ! ガツン!グインにはグッとシュワッ 長嶋的動物感覚操作で解決 ○適切なウェイトシフト・ブレーク操作のバランスの意識 オーバーコントロールの方が悪い結果につながることが多い ○素早く丁度よい操作の意識 速く操作すると過剰になりやすい。クイックな操作の反動。 ○安定性が向上している最新のグライダー 機体の安定性に慣れて反射的な感覚のレベルが低下する。 ○slipは外滑り skidは内滑り ってものの本に書いてあった。 ○渋い時は一つで粘って使い切る。 とは言っても、粘りと見切りの臨機応変 どっちやねん。 ○ダストデビルを目撃したらエリア中に多発している。十分警戒するのジャ。 ○高度に余裕がある移動は できるだけ追い風を利用できるコース取りで対地速度を上げると気持ちエ〜。 ○追い風側へ旋回していくときの対気速度 コントロール効果と失速・抑えた旋回から加速するまでのモタモタが危ない。 ○山脇・稜線裏・吹き抜けのリフトの深追いは藪チンだー ○速度を落とさずにタイトターンを維持するにはハイバンクが必須 逆にハイバンクを維持するには速度が必要。 ○フルリリースは加速コントロールが不可能で危険 ○ゲーム感覚でリセットの誘惑が出てくることがある。気安く諦めるな。 ○沈下を抑えようとする心理的な誤操作 向かい風の下降気流は対気速度を上げないと落ちるだけ〜 ○追い風で距離を延ばしたい時は最小沈下率で対地速度を利用する。 コントロールがかなりビミョー
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★★ライズアップの章★★ ○曲げずに立ち上げるセットアップ センターから立ち上がるようにAラインを調整 風向と立つ位置・手を動かさないテンションチェック ○引きはじめのライザーの位置は、斜面の斜度が急なほど手の位置が低いとダ〜メ! 肩の上か首の横でブロックして体で引く 手を構える幅は、狭い方が左右のバランスが崩れにくい。 ○頭の上に立ち上がったら必ず目で状態をチェックする。 頭の上まで一連動作の一発勝負のつもりで決める! 最初のグッ!でエアが入る手応えを確認 上がる気配を感じ取りながら、ライザーの引き込みは早めに止めて、体で引きながら、手のひらを滑らせるようにライザーを押し上げる感じ。 足は止めずにキャノピーとラインを見あげてチェック! 風が有るときは、バックステップして力を逃がすことが大切。 ○弱い風や無風時は速めに引くが 引きすぎるとインテークが潰れて立ち上がらなくなる。 風の強弱、変化を読みとって操作を適応させる。 ○風を使ってキャノピーを広げるとき ブレークコード以外のラインコントロールができるようになるまでは 必ずブレークコードを持つこと。 ○バックの時も、手の位置を広くしない。 引く必要のないブレークコードにテンションがかかってコントロールできなくなる。 ○強風時に風の強さに負けまいとしてライザーを引きこんでしまう。 手のひらで支えて、キャノピーが自力で上がってくるのを待つぐらいでよい。 それでも強いときはトントンステップで力を逃がしてやる。 上がりにくいグライダーに慣れた体と頭で、上がるグライダーに替えたとき 引きすぎ→速く上がりすぎ→止める必要→ブレーク→強い揚力→引っこ抜かれスタチン ○サーマルブローは左右に違う風が入り傾いたりコラップスしやすくなる。 自分の立っている所へサーマルが来ているときはキャノピーの真下からボワンボワン風がきてライズアップできなくなる。 ○空気を入れて地上にキャノピーを降ろして置いている時、潰れた方から生きている方へキャノピーがスライドしていく。 ○サーマル待機の時は適度にエアを入れ、テンションをかけてグシャグシャぐりぐりを防ぐ。
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★★グラハンの章★★ ○修正でキャノピーに与えた力で、どこまで戻るのか? 戻るまで続けるとオーバーコントロールになる。 ○ランディング直後はグラハンが凄く上達する。 飛行中の感触が残っていてキャノピーの動きを直感的(動物的)に感じ取れる。
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★★テイクオフの章★★ ○サーマルがやってくるときの風の息 風の息を感じ取れればサーマルが見えてくる。 ○胸を張って、首を前に突き出さないように前傾して、腰を低めにテンションが抜けないように荷重してキャノピーを加速させながらダッシュする。 東斜面では加速が足りないと雪崩止めにキックをいれることになる。 ○風が治まる傾向と予測した時は、早めにテイクオフする。
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★★ソアリングの章★★ ○サージからロールインまでの間にサーマルの質・形・強さを探る時間を作ってターンインのタイミングを調整する。 ○フラットな緩旋回・穏やかな定常旋回・ハイバンク旋回の使い分け ○自分のタイミング・自分の旋回半径・正確なバンク・左右同じバランス・パーシャルなウェイトシフト ○本流が強いときに風下へ外すと致命的 ○稜線を越える時・逆転層を突き抜けた時・シアーラインを切った時・サーマルドリフトの予測と修正 ○速い機体はスティックサーマルがでやすい。 小さくて一旋回が入りきらないがコアがしっかりしているサーマルの時は、抜けたときに加速させ、戻ったコアへスティックサーマルをシンクロさせてやると効率的な上昇を引き出すことができる。 ○コンバージェンス特有の多発乱発サーマルの時は平均上昇率を目安にセンタリングする。 寒冷前線型と温暖前線型では攻略イメージが違う。 ○可能な限り旋回すべての時間を上昇率の強いところへ維持する。 シンク帯のターンは失敗!早く戻る。 ○風向の変わり目のソヨソヨの微風には1000mゲインの大きな可能性が潜んでる。 ○寒風山のビックゲインはチャンス一発が多く、コンディションの変化が速い。 スカイラリーでゴールを達成している時は、ほとんどテイクオフから一発で揚げきってスタートしている。 ○スペアCuと新鮮なCu・隣の小さなパフとステップ・ウィスカーと巻髭 ○ロケット&タワーは短命・ドーナツリングの中心は下降気流 ○プリューム→コラム→バルーン ○強いサーマルほど真上に昇る(アタリマエか) ○Sea breeze front・Land breeze front・Coastal convergenceは寒風山エリアの定番 名前付き定番としては、西風マジック・東風マジック・馬の背マジック 南東オヤジサーマル・大火口マックロケサーマル・贅沢ぶっ飛び・最新では南東風ビックリッジ ○サーマルブローが7m/sを越えていても平均風速の2倍以内ならOK・・by校長 ○大きな1/fの時はビックチャンス ○感覚が研ぎ澄まされてくると、見えない筈のサーマルを空間にイメージできる。
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▼▼記憶に残るコラップス▼▼ ○網張りスキー場 初めてのツアーフライト、エナジーで網張りスキー場の海抜1100mの離陸斜面上空20m、斜度が緩く変化する地形の風下側のローターに叩かれて左側80%コラップス。反射的に生きていた右ライザーに掴まってグリンと左へヨーイングとローリング、左をシェイクしている間に右へローリングして反動でまた左へローリングしながらガサガサガサブン!とスパイラルしかけてなんとか回復。ローリングで振り回されて血が下がった。 ○東エリア なんとかトップアウトできるくらいのサーマルコンディション、10機近く飛んでたと思う。機体はセクター、菊池さんと多鶴ネーの三機でセンタリングしてた時、突然ブワサッ!なんで起きたのか予兆を感じ取れない突然コラップスでキャノピーがグシャ!無重力状態で落下後テンションが回復しながらキャノピーも回復したら、シュッ!とシューティング!グイッと抑えて・・ふ〜 ○南エリア ブーメラン2で南の松ノ木南西上空を光ちゃんとセンタリング中、対面が少しずれてコアの南側へ外れかけて加速させながら戻ろうとブレークをリリースした瞬間、予想以上にコアが小さく、しかも風上側に下降気流が巻いていた。ピッチダウンしたキャノピーが上から追い打ちをかけられた状態で叩かれリーディング側のアッパーが目の前へバサッ!と垂れてきた。斜面が近く余裕が無い状態だったが少しシューティングさせ〜の空気を入れながら〜のグイッで抑えてボンと回復。冷や汗タラリ。 ○北エリア 北西風サーマルコンディション、展望台西から吹き抜け上空方向へ籾パパと多鶴ネ〜と三機で離れた位置でそれぞれセンタリング、二機が風下側へ流され気味だったので風上側へコアをサーチ修正したらゴガーンとヒットして+7!バリオがギャピー!寒風山ベビーは直径が小さい、ハイバンクで攻めないと弾かれてしまうっとわかっていても芯がズレて冷や汗タラリ、外しても+4、コアへ戻すと突き上げでキャノピーがクシャっと抜けてシワシワ失速状態でそのまま揚がっていく、気持ちは攻めていてもリカバリー速射で二度ほどクシャクシャになりながら一気に1500mオーバーでサーマルトップ、耳がキーンでした。後日この経験が+7.5のアマノサーマル攻略に役立ち無事船越水道越え昭和ゴールにつながった。
パラロード3時間ソアリングを達成した頃に、サーマルも落ち着いて荒れが少なくなっていた。 疲れて集中力はかなり低下していた。 LDアプローチはオーバーヘッドから右場周かな?左場周かな?右だと道路の上になるかな? などと考えながら、スピードを見たらフルグライドで42キロ前後まででていた。 グンと突き上げを感じて、ん?最後のサーマルか?程度に感じながら無対応× ボワと右が軽くなってコラップスの感触で見上げたら左翼端が2割位しか残っていなかった。 「お!あらま〜」程度の感覚で見上げていた。 ヘナ!っと右へキャノピーが流れて右へ傾きながら右バック旋回していく状態 生き残った左翼端が風上側から押されてクシャ! 「あらま〜」の「ま〜」のタイミングでキャノピー全体が萎んでしまった。 この瞬間でようやく汗がタラリ!レスキューのレ!が頭をよぎったが 対応が先!にスイッチが入ってた。 キャノピーが萎んでもGを感じてた感触が残っている。 振り回されてSATに似たような動きがあったのかな? 最初のキャノピー回復の時、グリンと正面から下へ走って中へ落ちるような視線の移動があって 二度目の汗がタラリ、で二度目のキャノピークシャり 二度目の回復からスパイラルぎみの旋回に入る状態で手ごたえも回復して 反射的に動きを抑制する操作をイロイロしながら頭の上へキャノピーを止めたら右翼端がへばりついて回復してこない。 ラインを変えながら2度ほど揺すったが回復しない。この時に大きくシェイクしてたら回復してた筈・・ 残り高度を測りながら回復をあきらめてLDのコントロールにチェンジ 左旋回で風上へ向けたいので、失速しないように左をコントロールしながらLDしました。 落下速度は最大で−8強でしたが、振り回された時の対気速度は53キロ程度でした。 LDまでキャノピーが完全に回復しなかったコラップスは初体験ですが LDの直後には開いて回復してました。
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★★北の章★★ ○パラロードの東端吹き抜け西脇はサーマルの通り道 でも吹き抜け特有の流れるサーマルが罠をはって待ちかまえてる。 ○西風の強いときはパラロードの西端稜線手前にローターが発生する。 ○夕方西日で鬼の隠れ里からサーマルが沸いてきて西端の稜線上がグチャグチャになる。 ○中級機のLAの目安は道路カーブの少し下くらい ○パラロードの真ん中の窪地はサーマルの巣 ○サーマルコンディションで斜面に寄せすぎると斜面側の翼がコラップスして藪チン ○木を切った斜面は風の流れもむき出しになってしまった。 ○WSWでも展望台リッジで飛べるが、姫ヶ岳のローターがドカンとくる。 ○NE・NW・N・SSWにある納豆ポイントは・・フッフッフ ○強めの北北西風の時、板場ノ台をトリガーにして超ミニウェーブが発生して波乗りができる。
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★★南の章★★ ○石碑の松群はサーマルトリガー ○西端の道路松の木付近にはローターがある ○斜面中央の窪地から正面サーマル ○木が切られてから姫ヶ岳前のサーマルが山から離れて揚がる確率が高くなって、リッジリフトはガサガサして落ち着かなくなった。 ○姫が岳南西ポイントにはビックチャンスがある。 ○確率の高いサーマルポイントは5カ所ほど それはどこでしょ・・フッフッフ・・センタリングしてるとこをヨ〜ク見てると見えてくるでオジャル。
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★★東の章★★ ○東のサーマルは斜面から離れて揚がることが多い。 その為に、そよ風・無風・最悪追い風のタイミングでテイクオフすることになる。 テイクオフした直後にシンクへ落ちて雪崩止めへキ〜ック 斜面際で旋回中にもシンクへ落ちて斜面へドサッ! ○東サーマルは渋くても粘ってると1000mゲインに変身する。 ○南LDへアプローチする時の安全高度の目安はポンプ小屋の上。
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★★スカイラリーの章★★ ○2〜3日前の情報収集から勝負は始まっている。 ○風の息吹が止まった時、どこで待機するかが勝負の分かれ目。 ○寒風山のゲインチャンスは的が小さく、数日前から備えたものが数秒の躊躇でブッ飛ぶ。 ○1000mゲインしても贅沢ブッ飛びになるコンディション。さあドースル。 ○ゲイン300mでも出て行けるギャンブルコンディション。 ○シリンダーとトラックログのローカルルール ○シリンダーはGPSの中に存在する仮想空間!地形では判断しない。
●サンルーラルタスク ○ベストスタートは姫ヶ岳南か手前吹き抜けからのサーマルゲイン。 南正面から流れるサーマルはシリンダーへ入らないことが多い。 ○五里合から角間崎を結ぶラインを横切るときはシンク確率80%。 手前からのルート選択次第で、この先の対地高度300m弱から復活も・・・・ ○鵜ノ木から福米沢までは丘の上がハイウェイ。 ○承水路横断はシンク確率98%。 直線最短コースから外れるが、野石橋上空で一気に渡るルートがベスト。 ○リターン勝負にはライン変化を外さないルート取りが必要。スピード優先とは両立困難。
●昭和町タスク ○離陸場の北西からゲインして電波塔の真上からスタートするのがベストタイミング。 北から普通にテイクオフしていればスタートシリンダーには入る。 ○船越水道越えから先のルート選択とタイミングは変化の見極めが重要。 典型的な男鹿半島コンバージェンスは船越手前か上空まで、その先は変化する。 ○ギャンブルトライで復活1発目は富永の裏サーマル 2発目は男鹿工業手前陸橋サーマル、高確率の定番サーマルは大きな駐車場。 ○昭和ゴールの少し南は、住宅地サーマルがシアーラインと融合して1500m級のサーマルになることがある。
●入道崎タスク ○ベストスタートは東ブッヒャーからテイクオフしてそのままゲインして西へ流すパターンだが、東の前で高々度まであがれるときは南西へ流れる条件が多い。
○ビックゲインは南東方向から南側を回り込むサーマルの方が確率が高い。 おやじサーマルは南斜面と小展望台の間の空間を通って姫の前から西南西方向で変身する。 南からテイクオフしても、このサーマルに乗れるが、スタートシリンダーに入らないのでオサエが必要。
○ハイウェイ状態で無いときは、ゴミ焼却場付近がリゲイン&キープの第一ポイント、ここで粘って次の状況変化を観察。
○安全寺付近が第二ポイント、ここでヒットするサーマルは大きめが多く、本山方向へ寄せて上昇する時は本格的な山岳サーマル状態になることがある。
○第三ポイントは男鹿温泉郷付近
○ハイウェイができた時は本山まっしぐら状態になるがゴール達成のネックは男鹿牧場戸賀湾ラインから北西方向の攻略。 この先にラインが発生するタイミングに合わせられるとゴールは確実。リターンは気力・体力の勝負
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★★奥義の章★★ ○三つの病 見る・考える・操作する 達人にとって、状況を見て分析思考して判断して体を動かすということは技を鈍らせる病に他ならない。見ている様な状態とは全体的に五感+αを通して気配が脳に映っている状態であり、分析・思考・行動は直感的に反射的に行われ意識されることは無く「無我」となる。 ○技術能力の五段階 技能は、状況を意識的に分解して構成要素を識別する客観的、分析的な行動に始まって、経験の蓄積と、新しい状況の中に過去の経験との類似性を認めることを基盤とするエキスパート行動へ進歩する。段階として表現はしたが、これらはオーバーラップしながら切れ間無く変化している。 第一段階 ビギナー さまざまな事実や特徴を識別することを学び、それに基づいて行動判断の規則を覚える。対処すべき状況を構成する諸要素はビギナー向けに「ストーリーの無い要素」として単純化され、部分的要素の情報処理的な理解で学習を進める。感覚的なフィードバックの意味を感じ取れない段階。判断力は全く無い状態からスタートし少しずつ向上してくる。 第二段階 中級者 練習し体験した要素の中に関連性のある要素の存在を意識できるようになる。体験の類似性を「状況依存の要素」として感じ取り、周囲との脈絡、規則も含めた全体観的な理解が生まれてくる。感覚的なフィードバックを感じとり、判断に結びつけられるようになるが、フィードバックが多くなってくるとどれが重要なのか判断できない判断力不足におちいる。 第三段階 上級者 目的を明確に意識し、体験している状況を事実の固まりとして捉えられるようになる。固まりを構成する要素の相互関係を理解し重要度を判断して結論し判断し予測する。計算的合理性に基づく予想の段階。フィードバックから目的選択と意志決定が「意識的選択判断」として行われ判断力が成熟する。 第四段階 プロ 判断のほとんどが主観的になる。「全体観的類似性認知」によって、経験から「直感」「コツ」を使うようになる。フィードバックを直感的に感じ取るが、まだ行動段階で分析的になり間が生まれる。似たようで異なる「条件反射」には類似性認識が無い。「当て推量」は情報不足・経験不足の場合に生じる。 第五段階 エキスパート 経験に裏打ちされた円熟した理解力に基づいた判断力を持つ。技能が体の一部になり意識が消え、無意識に、自動的に、自然に体が動く「無我」になる。独創的な技能を発揮する。
合理的な説明づけの害 エキスパートに予告無く「無我の技」の説明を求めた時は、ほとんど意味不明なことを口走る。 直感的に判断したものの状況構成要素を識別し、判断規則に従って要素を組み合わせて妥当な「説明」をつけて、直感的な選択を正当化しようとする。 言葉で表現できそうにないことを無理に言葉にするために、専門用語を探し回って、理由を創作しようとして「こじつけ」になる。経験に基づく円熟した意志決定に、要素の識別や規則は不要なものでありそれを求めることは害である。 理論的な返答が返ってきた時は、レベルをプロ段階まで引き戻して、意識できなかったものを、客観的な力を借りて分析を済ませて備えた状態である。しかし、それが真の技を伝えているかどうかは説明を求めた者がエキスパートと同じことができたと認められる時まで待たなければ評価はできない。
○秘技・錐揉寸止芯留極之術 ○秘技・張抜古機体暴制御之術 ○秘技・壁際狭八字旋回之術
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